なぜ薬剤耐性(AMR)が広がるの?

2025年10月14日

必要のない抗菌薬を服用することで、体内にいる細菌がその抗菌薬への耐性を持つ可能性が高くなります。また、処方された抗菌薬の服用を自分の判断で途中で止めるなど、指示された服用方法を変更してしまうと、残った細菌から耐性菌が出現する可能性が高くなります。こうして生まれた耐性菌が、自分の体内にとどまり(保菌)、また周囲の人々に伝播していくことで、薬剤耐性は広がっていきます。そして、抗菌薬の効かない細菌が広まることで、感染症に対する有効な治療法がなくなってしまうのです。

 薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐためには、そもそも感染症にかからないようにし、抗菌薬を必要とする機会を少なくすることが重要です。感染を予防するためには、日ごろからの、正しい手洗いやうがい、マスクの活用などが重要になります。また、生活や食事、休養などに配慮して、健康に気をつけることも大切です。また、ワクチンで予防できる細菌感染症(肺炎球菌感染症、インフルエンザ桿菌(Hib)感染症、破傷風、百日咳など)もあります。必要なワクチンはきちんと接種しましょう。次に、ウイルスによる感染症に対しては、必要のない抗菌薬を処方しないという取組が重要です。もしも、感染症にかかってしまい、病院に行った際には、医師に自分の症状を詳しく説明し、医師が適切な診断を下せるようにしてください。ウイルスによる感染症(ウイルス性の風邪など)で、抗菌薬が処方されない場合にも、医師の診断に従って、抗菌薬を不必要に求めないようにすることが重要です。