なぜ、冬に高齢者の入浴事故が多くなるの?

2025年12月22日

お風呂の最中、頭が「くらくら」すると感じたことはありませんか?入浴中に意識を失い、そのまま浴槽内で溺れて亡くなるという不慮の事故が増えています。特に65歳以上の高齢者の死亡事故が多く、毎年11月から4月にかけて多く発生しています。厚生労働省人口動態統計(令和5年)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は6,541人で、交通事故死亡者数2,116人のおよそ3倍です(注)。冬場こそ入浴時に気を付けてください。

入浴時の事故が多くなる原因の一つは、急な温度差による血圧の急激な変化です。暖房のきいた暖かい部屋から、冷え込んだ脱衣所に移動して衣服を脱ぎ、浴室も寒いと、血管が縮まり血圧が一気に上昇します。その後、浴槽に入り体が温まってくると血管が広がり、急上昇した血圧が下がります。この急激な血圧の変化により、一時的に脳内に血液が回らない貧血の状態になり一過性の意識障害を起こすことがあります。浴槽内での意識障害が溺れて死亡する事故の原因の一つとして考えられています。特に65歳以上の高齢者は、血圧を正常に保つ機能も衰えてきている場合がありますので注意してください。また、血圧が不安定なかた、風呂場でめまいや立ちくらみを起こしたことのあるかたも注意が必要です。